死の選択 : デスメタルとグラインドコアの胡散臭い歴史

Choosing Death: The Improbable History Of Death Metal & Grindcore

Choosing Death: The Improbable History Of Death Metal & Grindcore

翻訳は出ていないはず。「メタルによる死」という章の冒頭だけを抄訳。
 
多少なりとも想像力を働かせれば、アイアン・メイデンのあのいたるところで目にする骸骨のマスコット、エディーがフロリダのデスメタルシーン全体に実際に変化を与えたキャラであることを証明できるだろう。
1983年、アルタモンテ温泉(人口20000人超)の静かなオーランド郊外にある唯一の公立高校、ブラントリーレイク高校でバーニー・リーのような生徒たちは時間をつぶすためのありがたい気晴らしとしてノートの表紙に落書きしていた。リーもまた音楽や政治色の強いデッド・ケネディーズ、ザ・エクプロティッドとおなじミスフィットやサムヘインのケバケバしたロゴに慰めを求めていた。
「ある日、俺はひとりで座っていた。もちろん、いたずら書きをしながら」
リーは1983年当時を思い出して語る。
「俺は小さな骸骨人間を描いていた。そうしてたとき、そいつは俺の肩越しにのぞき込んで言った。アイアン・メイデンのエディを描けるか?ああ、余裕だよ。そのときから、俺たちはしゃべりはじめた。」
この男は名前をフレデリック・デリーロといい、メタル狂で、すぐにリーと友人関係を結び、アクセプト、レイヴン、マーシフル・ヘイトといったヨーロッパのヘビーメタルバンドを彼に押しつけだした。けれど、リーはその手の音楽にはどちらかというと懐疑的なままだった。
「俺はその手の音楽は聴いたし、尊敬していた。けど本当の好みではなかったんだ」
彼は説明する。
「フェイトは好きだったけど、高音のヴォーカルのたぐいはまるでダメだった。ある日、リックが俺のところにやってきて言った。こういうバンドがある。聴いてみろ。モーターヘッドみたいだったけど、そいつはもっとずっと過激だった。こうして彼はヴェノムのアルバム「ブラックメタル」に出会ったわけだ。これなら俺らにもできる!そんな感じだったよ。」