世界一周恐怖航海記

世界一周恐怖航海記

世界一周恐怖航海記

 
巨大な客船で日本を出発し、百日間かけて世界一周する「ピースボート」に作家の車谷長吉と妻で詩人の高橋順子(+影の大ボス・新藤涼子)が挑み、その顛末を赤裸々に綴った冒険日記。たどたどしい言葉とジェスチャーで外国人とじゃれ合って遊ぶことが「国際交流」であると我が国では認知されているようだが、ピースボートもまたその域から一歩も踏み出していないことを本書が明かしている。そのせいか、公式サイト株式会社ジャパングレイス「ピースボートの船旅を企画・実施する旅行会社」 - 1969年に創業し、まもなく50周年を迎える旅行会社。1995年よりNGOピースボートの企画クルーズを主催旅行社として主催。以後、毎年実施される「地球一周の船旅」をはじめ、アジアなどで行うショートクルーズを含めたクルーズにおける業務全般を行う。株式会社ジャパングレイス「ピースボートの船旅を企画・実施する旅行会社」に掲載された「これまでにご乗船いただいた方」の一覧には、各界の著名人の名前(筑紫哲也立松和平金田喜稔、・・・)が列挙されているにもかかわらず、車谷、高橋両氏の名前はない。海上を漂う世間にあっては、老いも若きも異性を求めて船内を奔走、ラブワゴンならぬラブシップの船上(戦場?)は「あいのり」そのもの、であるらしい。欲望の濁流がうねる人間模様に辟易しつつ、それでも、パタゴニアの氷河が眼前に広がったときは、思わず「この旅にきてよかった!」と著者。カラーとモノクロの写真がふんだんに載っているので、セスナ機の空中旋回に引きつったり、歯の欠けたりした長吉っつぁんの百面相をご覧いただけます。