エリ・エリ・レマ・サバクタニ

ミクシィに書いたのをコピペ。
 
DVDでは意味がない、映画館で見ないとイケない映画だ。
10年後の世界、人々を自殺へ促す謎の伝染病、謎めいた
ふたりのミュージシャン、音楽による回復・・・。
寓話のように受けとることもできてしまう。
この映画は何を言いたかったのか。
タイトルを何を暗示しているのか。
背後にある監督の意図は?
物語を追うことが不得手な私は、そういうことを映画では
滅多に考えない。
おつむが弱いのか「おはなし」がよく分からないのだ。
映像というのは、まったくデタラメに繋いだとしても、
語るつもりになれば、意味や因果関係はいくらでも生まれる。
すると、「見方は人それぞれだよね」という当たり前の鑑賞
作法に落ち込んでしまいそうで、それがつまらない、という
のもある。
公式サイトで監督(青山真治)のインタビューを見た。
映画の見方として「音と映像にまみれる」ことを強調している。
この映画にこそ冠したい言葉だ。一般論でなく。
筋書きから離れた映画に固有な作用を拾ってみれば、音と映像、
広い空間、大きなスクリーン、他人と体験を共有すること、など
が浮かぶが、そうした環境に身をおかないと「まみれること」は
できない。
浅野忠信が出演している。
「からっぽ」が誉め言葉になる男。
寡黙だが、たたずまいが雄弁というやつだ。ずるい。
映画のクライマックスではギターを激しく弾きまくる。
いやはや、うまいね〜。緑の大草原の真ん中で爆音って、
本人もミュージシャンとして憧れていたらしいけど、
想像を逸脱した映像美。カメラを20台近く使っ
ているらしい。まみれました。
あとは中原昌也が出演してる。映画初出演。
演技は下手である。棒読み。浅野忠信によれば、セリフ
喋りながら、カメラの方を見てしまうので、参ったそうだ。
彼がやれば、ゴダールのパロディかもしれないが。
他にも、宮崎あおい筒井康隆と顔ぶれは豪華です。
あと映画のメイキングを阿部和重が作ってる。
ソニマージュ(音+映像)という枠組みの中で遊び心を
発揮した、静寂とノイズをふりまいて転がり進む奇岩
のごとき映画と言えます。

[公式サイト]
http://www.elieli.jp/top.htm

ちなみに映画のタイトルはこの本に収録された一遍から取ったそうだ。

意味の変容 (ちくま文庫)

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