ハンス・アルプ展

yourou2005-02-13

「自分の世界」に浸りこんだまま一生を終える
人というのが存在しています。ここにいう「自
分の世界」が、演じられた「キャラ」が偽造す
る「〜ワールド」と異なるのは、入り口が不在
だからです。「自分の世界」を語る連中は、傍
目にはたいてい頭がおかしく映るので、対峙す
る者は彼らの「真意」を聞きたがる。入り口を
探そうとします。一部の「芸術家」が信用でき
そうなのは、どこまでいっても表面がまっさら
の閉じた立体だからかもしれない。写真は「天
の川の涙」と題されたハンス・アルプの作品。
「なるほど水滴のようだ」と私のような凡庸は
つい形状に「入り口」を拵えてしまう。そうで
はなくて、予算会議の最中、手の平に隠しもっ
た「天の川の涙」を机の下で密かになで回して
いるべきなのです。
 
神奈川県立近代美術館 葉山
2005.1.15(土)〜2005.3.27(日)