逆さ十字架

そういえば、『エクソシスト・ビギニング』には「逆さ十字架」が
幾たびもあらわれた。神への冒涜を表現する様式だ。
DEICIDEというバンドがアメリカにあって、ここの中心人物は
額に逆さ十字を刻印し、自分の子供には「DAEMON」と名付けるほどの
悪魔主義者。本人はかなりマジだと思う。「Deicide」という単語は、
ご存じの方もいるかもしれないが、神(キリスト)を殺すことを意味
している。ネットの英和辞典では削除されているようだが。
マリリン・マンソンが有名だけど、アンチ・クライストをトレード
マークにしたバンドはそれ以前からいくらでもあった。これを笑う
のは簡単。でも、日本人にはその意味の本当のところが、感覚的に
分からない。高校生の頃、バカだった私は「SINISTER」(そういう
バンドがあるのだ。 不吉な、邪悪な、といった意味)というロゴ
の入ったTシャツを着て、年輩の米国人男性と対面したことがある。
会うやいなや、その方は私のTシャツに目をやって「sinister・・・」
とつぶやき、本気で嫌な顔をした。ここで浮かんだ表情の本気さを
介してのみ、「邪悪なるもの」の存在を窺うことができるのだろう。