アレクサンドル・グロタンディーク

yourou2004-10-21

数学者の孤独な冒険―数学と自己の発見への旅 (収穫と蒔いた種と)

数学者の孤独な冒険―数学と自己の発見への旅 (収穫と蒔いた種と)

「新しい観点」をお披露目中のアレクサンドル君と途方に暮れる天才諸氏(→)。




数学者グロタンディークの浩瀚な自分史『収穫と蒔いた種と(原題)』は、以前
この日記で「ラケットをもたない構え」を比喩に私が提唱した「悪あがき美学」
のひとつの達成だろうと思う。
自分がどれだけ偉大なことを成し遂げたかを分かってもらおうと、自らが築い
た「作品」の描写に言葉を尽くす。そのあがきっぷりが滑稽としかいいようが
なく、あまりに必死なので、こちらもきっとすごいことをやったんだろうと軽
信し、なんとかわかってあげたいと好意を抱き、一生懸命字面を追う。

>私の人生のこの長い時期(1950〜1969)、私の時間とエネルギーのほとんど

私の人生も、ただ不徹底であるという意味において、万事が部分的な遊行です。

>つまり仕事が進むにつれて、私の中にある声(あるいは守り神・・・)が私
>にささやく筋書きにしたがって、建てることを厳命された家のすべての部屋
>の建設のために必要とされる、加工、組み立て、すり合わせといった細かい

えーと、職業は大工さん?。

>量の面で言えば、これらの激しい生産の年月のあいだの私の仕事は、とくに、
>論文、モノグラフ、セミナーの形での一万二千ページほどの発表によって、

「数百の概念」って「数百の造語」と混同されそう。
哲学とは概念を作ることと定義したのはドゥルーズ

>数学において私がもたらせた最良のものは、まずはじめに私が「かいま見る」
>ことができ、ついで忍耐づよく「引き出し」、多少とも発展させることが出

ここまでアバウトな説明で、自らの業績を「最良」と言い切るところがうける。
とにかく面白い本なのに、絶版なんだなあ。