『エクソシスト・ビギニング』

台南には、いわゆるミニシアター系の映画館がない。
あったところで、中国語字幕のロシア映画を見ても内容サッパリだから、
困りはしない。そこで、米国産の商業映画にご登場いただく。
エクソシスト・ビギニング』を見た(日本は10月16日公開)。
★は3つ(甘め)。
初代の『エクソシスト』は怖い映画で好きだったのだが、「ビギニング」と
銘打たれた本作は、初代とは似ても似つかぬ異母異父兄弟であった。
18才未満は鑑賞禁止なんだけど、この映画の残酷描写は単に悪趣味。
悪趣味を子供に見せると、くだらない大人を育むからよくないよ。(笑)
その意味でR18は正解だな。
かつて神父だった主人公が戦中に体験したおぞましい記憶ってのが、
とりわけよろしくない。悲惨な記憶を捏造するためだけに、戦争を
持ち出してる。
初代作品では輝きを放っていた「古代の遺跡にやどる悪霊」という
ありがちだが魅力的なモチーフが、ここでは瀕死です。
井戸の淵で騒ぐ猿が、CGでこしらえた悪霊ハイエナに変身したところで、
私はやる気を失い、元気も失いました。それまでは、40年代のエジプト
の妖しくけむたい町並みと雑踏が、ゆるやかに悪を呼び寄せていく感じ
でわりとよかったのにぃ。
時間がなかったんでしょうか。CGがまたしょぼい。
もろ合成だもんな。
羊たちの沈黙』や『スターシップ・トゥルーパーズ』を想起させも
するシーンを差し挟みながら、どうにかこうにかオカルト映画のふり
をして、2時間引っ張るのがほほえましい。
最後はお約束のボス戦。とっても弱いです。
『ファイナル・ファンタジー』をディープに経験した日本人が「弱
いボス」には食傷気味だってことを向こうの作り手は知らないのだろう。
(日本人の感性を意識しなきゃいけない理由はないのだが)
いくらがんばっても勝てそうにない「バカ強いボス」を待ってるのに。
ウィザードリィ』(雑魚からして強すぎ)というアンバランスを輩出
したあなたにならできる!