アプリオリについて

アプリオリな真理とは、わかりやすくいうと、生まれたときから、暗い部屋の中に閉じこめられ、外界との接触を一切をもたず、何ひとつ経験しないとしても、頭で考えるだけで知ることのできる真理をいうのだと思う。この世界に生まれ落ちた人間が「何も経験しない」という想定は曖昧だが、今はおいておく。
クリプキによると、アプリオリな真理を経験的に知ることはありうる。
ある数が素数かどうかは、計算機で２からその数まで順番に割り算してゆき、どれをとっても割り切れなければ、素数である。この計算を自分の手で実行するなら、アプリオリな真理を経験によらず知ったことになる。
一方、計算機を使って計算し、素数だと分かったならば、それを正しいと信じる根拠は、計算機の構造を理解し、その性能を信じているからだ。計算機の構造をアプリオリに知ることはできず、この場合、アプリオリな真理を経験的に知ったことになる。