悪について

悪について (岩波新書)

悪について (岩波新書)

社会科見学の一環と考えて一歩離れた位置から業務に従事してみると、当事者意識というものが見果てぬ仮構の産物であることが俄に際だちはじめ、組織という身体全体に行き渡って滔々と流れる自己愛の濁流に目を塞ぎたくなる。こうして冷静に事態を分析する素振りを見せたところで、「誰も自己愛の引力圏から抜け出すことはできない」。