シュルレアリスムとは何か
- 作者: 巖谷國士
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/03/01
- メディア: 文庫
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運動としてのシュルレアリスムは、ある面では政治的なものでもありました。ブルトンのいいかたでは「現実は僅少である」(『現実僅少論序説』)わけだから、現実そのものを充実したもの、強度のもの、過剰なものにするために、ただ「超現実」を夢みていい気持になるというのではなくて、「超現実」の思想にもとづいて現実を人間に奪いかえさなければならないと考える。(P98)
『シュルレアリスム宣言』の結語は「生は別のところにある」ですけれども、その「別のところ」がけっして特権的な別世界でも逃避可能なフェアリーランドでもなく、いわんや保護されたユートピアなどではなく、まさにこの現実と連続しているということを主張していたのが、一九二〇年代のシュルレアリスムだったんですね。(P178)