エメラルド・カウボーイ

yourou2005-02-26

南米コロンビアで宝石エメラルドのビジネスを成功させた早田英志氏が、日々是大時化の半生を自ら監督、主演して作りあげた映画。現実にどうであったかはさておき、早田氏の佇まいに「不幸」の香りが漂っていない点で、「壮絶な生きざまもの」とは色あいを異にしている。
上映終了後にご本人が登場。よく通る甲高い声で、早口に、短い舞台挨拶をあわただしく行った(写真を参照)。次の回の上映時間を気にしながら、映画の生い立ちを、わずか10人ほどの観客に向けて、力のこもった言葉で伝えようとする早田氏の雰囲気はとても明るい。映画での印象とはだいぶ違ってあっけらかんとしている。私が抱いたのとおなじ違和を対談した石川次郎が早田氏に率直にぶつけている。
 
石川「(中略)お会いしていると、画面のなかの早田さんとは全然違いますね。」
早田「今は演技していますから。日本人を相手にしているようなスマイルは、コロンビアでは出ないですね。映画では、子供の卒業式の時だけ、一度だけスマイルしています。」
石川「早田さんはもともとは、そういう人じゃない気がします。もともとは普通の方で、コロンビアという国がそうさせたのではないですか。」
早田「そうです。凄まじい世界ですから。」
(会場で買ったパンフレットからの引用)
 
「今は演技しています」と語る早田氏に対し、演技というよりもともとはそういう「普通の方」なのではないですか、と迫る石川氏の応答には、対談相手の実像にストレートな関心を抱いていることが伝わってきて、好感がもてる。ゲリラからたえず命を狙われているコロンビアでの早田氏の表情は厳しく、流暢なスペイン語の語り口は威圧と攻撃のそれである。逆襲の心配のない安全な場所からばらまく無差別爆撃的な攻撃口調ではない、対決の姿勢が漲っている。やらざるをえない戦いに晒されつづける早田氏には、あれこれ考える暇がない。熟考する暇人は、コロンビアではただちに誘拐されます。
���������ɡ������ܡ���